業界ウォッチ 約4分
訪日外客数は減ったが、動いたのは構成
JNTOの推計で2026年8月の訪日外客数は309万8,900人、前年同月比9.6%減。一方で韓国は8月として過去最高を記録しました。アメニティの発注では総数より構成の変化が効きます。
日本政府観光局(JNTO)の推計によると、2026年8月の訪日外客数は309万8,900人で、前年同月比9.6%減となりました。1月から8月の累計は2,762万6,300人、前年同期比2.7%減です。購買会議に届きやすいのはこの二つの数字で、単独で見れば「弱含みの年」と読めます。
国・地域別の内訳は違う景色を見せます。8月の韓国は85万500人で、8月として過去最高、前年同月比28.7%増でした。台湾は66万6,000人(同7.3%増)、香港は24万7,300人(同9.4%増)、米国は19万7,400人です。中国は41万8,000人で同59.0%減となり、この一市場の減少分が国全体の減少幅を上回っています。
シェアは計算して示す
公表されている累計値を割ると構成の変化が見えます。1〜8月の訪日外客数に占める韓国のシェアは今年およそ27%、前年同期の同じ計算ではおよそ22%です。これはJNTOの発表値ではなく当社による除算です。計算過程を示さずに置かれた百分率は測定値ではなく主張になってしまうため、明記しておきます。
入国者数は宿泊者数ではない
訪日外客数は入国の件数です。一方、使い捨てタオルは客室で、宿泊客によって、宿泊した夜に、施設・季節・客層によって変わる稼働率の下で消費されます。その間に、補充量を実際に決める要素がいくつも挟まります。滞在日数、団体か個人か、施設自身の基準、そしてその客が韓国からの約27%なのか、縮小した中国からのシェアなのか。
国全体の9.6%減を、タオル需要の9.6%減と読み替えるのは、算術の体裁をした推測です。当社はその推測をせず、その前提で組まれた計画には異を唱えます。
構成の変化が実際に動かすもの
最初に効くのはパック構成です。韓国客の比率が高い施設と中国客の比率が高い施設は、同じ客室数でも買うものが違います。パック入数の違い、フェイスタオルとバスタオルの構成比、そして見落とされやすいのはパッケージへの表示言語です。
表示言語は一度訳して終わる問題ではありません。市場ごとの判断であり、フィルムを刷った後よりも見積が開いている間に見直すほうが安く済みます。
二つ目は需要予測の作法です。国全体の単一の伸び率をポートフォリオに一律で当てると、28.7%伸びた市場が59.0%縮んだ市場の陰に隠れます。購買担当者が自施設の稼働率と滞在日数の前提を共有できるなら、仕様の打ち合わせは短くなります。共有できない場合に誠実なのは、点ではなく幅で示すことです。
こちらから投げる問い
「日本市場はどのくらいの規模か」ではなく、「この施設が実際に迎えている客層は何か、現在のパックはそれに合っているか」です。この問いには購買担当者自身のデータで答えが出ますし、8月のような月を、どの国の総数よりも安定して耐えられます。